ちくま文学の森シリーズの第2巻。(ちくま文学の森についてはこちら)
2巻目のタイトルは「心洗われる話」。
世の中には、「心乱される話」や「心汚(けが)れる話」はたくさん転がっているが、「心洗われる話」にはなかなか出会うことができない。
「ふっ、そんな話いまどきあるのかい」と混ぜっかえしたくなる昨今の世情だが、文学の世界は奥が深い。
古今東西から取り寄せれば「心洗われる話」はたくさんあるのだ。それをまとめてくれたというのだから、これはもう見逃せない。
【少年の日 佐藤春夫】
ノーコメント
【蜜柑 芥川龍之介】
芥川龍之介のうまさが際立つ一編。
読み終わったとき主人公とともに、〈不可解な、下等な、退屈な人生を僅かに忘れる事が……〉できる。
そんな話である。
【碁石を呑だ八っちゃん 有島武郎】
ノーコメント
【ファーブルとデュルイ ルグロ】
昆虫記で有名なファーブルの話。自らの研究にすべてを注ぎ込んだファーブルの人となりがよくわかる話。
【最後の一葉 O・ヘンリー】
この話の大まかなストーリーを知らないという人は少ないだろう。しかし、知っていたとしても、改めて最初からじっくり読んで味わって欲しい一編。何度読み返しても「ジ〜ンとくる」そんな作品である。
【芝浜 古典落語】
有名な古典落語。落語好きでなくても話の筋くらいご存知の方は多いだろう。話の展開自体が面白く全編楽しめるのだが、最後の亭主の一言が止めという一席。
【貧の意地——「新釈諸国噺」より 太宰治】
ノーコメント
【聖水授与者 モーパッサン】
「心洗われる」というより「暖まる」作品。森鴎外の「山椒大夫」を想起させるストーリーであるが、博学な鴎外はもしかするとこの作品を読んでいたのかもしれない。
【聖母の曲芸師 アナトール・フランス】
ノーコメント
【盲目のジェロニモとその兄】
ノーコメント
【獅子の皮 サマセット・モーム】
ノーコメント
【闇の絵巻 梶井基次郎】
ノーコメント
【三つ星の頃 野尻抱影】
なんとも切ない気持ちにさせられる話。
【島守 中勘助】
ノーコメント
【母を恋うる記 谷崎潤一郎】
ノーコメント
【二十六夜 宮澤賢治】
宮澤賢治らしい不思議な味わいのある作品。
【洟をたらした神 吉野せい】
日本がいまよりはるかに不便で貧しかった頃も「そう捨てたものではないな」と思わせる話。結末まで読むとタイトルの意味が理解できる好短編。
【たけくらべ 樋口一葉】
樋口一葉独特の魅力を持つ恋物語。現代人にとっては読みづらい文体であるが、少し読み進むうちにいつの間にか一葉の世界に引き込まれていく。
【瞼の母——二幕六場 長谷川伸】
なかには寂しい話と思う人もいるかもしれないが、これはこれでハッピーエンドなのだろう。
【土佐源氏 宮本常一】
ノーコメント
多少退屈と感じたり、たいして心洗われない作品もあるが、それはまた人それぞれだと思う。私が選択ミスと感じたのは2編ほどに過ぎず、ノーコメントとした作品の中にも、楽しめたものはいくつもあった。
お勧め度:★★★★★☆☆☆☆☆
(2011.10.5)

